イビキと歯並び

「何でイビキと歯並びが関係あるの?」
皆さんそう思うと思います。
ところが、あるのです!

子供がイビキをしていてちょっと心配というお母さん、旦那さんのいびきでお悩みのお母さん。
矯正のついでにイビキも治るというトリビア、ぜひご覧ください。

1.イビキと健康

みなさん、”イビキ”と聞くとそのイメージはどんなものでしょう?

お父さんのイビキがうるさい。
太っている人がイビキをかきやすい。(図1)
お酒を飲むとイビキをかきやすい。

(図1)

そんなところでしょうか?
数年前、「夫のイビキについて」主婦に調査を行ったところ、多くの人が夫のイビキについてうるさいと思っているだけで、何の対策も行っていませんでした。
いわゆる、イビキをかくのは当たり前で「何か問題でもあるの?」という認識でした。

しかし最近、イビキや睡眠時の呼吸についての研究が進歩し、健康に対して、たかがイビキでは簡単に済まされないことがわかってきました。

また、子供でもイビキをかく場合があります。

イビキの起こり方

寝ている時には、誰でも気道(喉の奥の空気の通り道)の周りの筋肉が緩み、その一部の幅が狭くなります。
空気がその狭い部分から広い所に出たときに「イビキ」が起こります。
なお、通常、起きている時(覚醒時)には気道は広く、問題はありません(図2)

(図2)

気道がもともと狭い人や肥満によって気道の周りに脂肪が付き、狭くなった人はイビキをかきやすいのです。

イビキとつながる睡眠時無呼吸症

イビキは睡眠時に気道の幅が狭くなることで発生しますが、その幅がもっと狭くなり、一時的に閉鎖してしまうことがあります。
この時は一時的に呼吸が止まり、無呼吸の状態になります(図3)
この無呼吸を一晩に何回も繰り返すようになると、健康にも悪影響を与え、日中に無意識に寝落ちするなど日常生活にも影響がでてきます。
これは「睡眠時無呼吸症」といって治療が必要になります。

(図3)

睡眠時無呼吸症(OSAS:Obstructive Sleep Apnea Syndrome)の影響

睡眠時の息が止まる状態が続くと深い眠りが取れず、夜中に何回も起き、睡眠不足になります。
自分では「息が止まり苦しい」「よく眠れない」という自覚症状はないため、昼間、仕事中に眠い、寝てしまう、集中力がないなど様々な影響がでてきます。
とくに、乗り物を運転、操縦をしている場合には危険が伴います。

1979年に起きたスリーマイル島原発事故、1989年のアラスカ沖タンカー座礁事故や、日本では2003年、山陽新幹線の運転手居眠り運転事故は睡眠時無呼吸症(OSAS)により発生したといわれています。

このように、イビキは寝ている時に息を止めてしまう症状に進行し、日常生活にまで影響を及ぼすことがあります。
「たかがイビキ」という認識は改めたほうが良いと思います。

なんと、イビキをかきやすい歯並びがあるということをご存知ですか?

2.イビキと歯並び

イビキの原因のひとつは「小さいアゴ」だった!

イビキの原因は気道が狭くなることにより起こるため、従来は太っていることが原因とされてきました。
しかし、最近、日本人のイビキの原因は「肥満」に加え「小さいアゴ」も原因がわかってきました。

では、どうして「アゴの大きさ」と「イビキ」に関係があるのでしょうか?
それは舌の位置(置き場所)に影響することです。
もしアゴが大きく、歯並びも良ければ、舌は上アゴの歯の裏側に沿ってその置き場所を確保することができます。(通常、舌は上アゴの裏側にくっ付いています。)
この場合、イビキはあまりかかないでしょう。

しかし、アゴが小さく、歯並びも悪い場合、舌の置き場所がなく、後ろに引っ込んでしまいます。

小さいアゴ

次に、寝ている時の下アゴの位置について考えます。
人は、仰向け(上を向いて)で寝ている時、下アゴは起きている時よりも重力によって自然に後方へ下がります。
よって、もともと後ろに引っ込んでいる舌が仰向けに寝ることで更に後ろへ下がり、気道を狭くする原因となります。

特に問題となる歯並びは、いわゆる「出っ歯」つまり、上の歯が出ている状態です。
出っ歯は、上アゴや前歯が出ているように見えますが、実際には下アゴが小さく引っ込んでいることが多いのです。
下の写真を見るとわかりますが、アゴを前に移動することで、気道が1センチも広がるのです。
ふさがっていた状態がむしろ怖いと思いませんか?

気道写真
大人の睡眠時無呼吸症がひどい場合は、手術によりアゴを前へ移動させて、舌を前に出しやすくする治療法があります。

3.イビキ対策としての矯正治療

イビキの原因は

1. 小さいアゴ

2. 奥に引っ込んだ舌

とお話ししました。
とくに成長期である子供たちへの矯正的なアプローチを解説します。

矯正治療の目的

1.下アゴを前方へ誘導

小さく、後ろに後退している下アゴの成長を促す→舌が前方に出せる

2.歯列の拡大

舌を前方に出せるようにする→気道が広くなる

治療例

A.下アゴを前方へ誘導した治療例 10歳男子

出っ歯+小さい下アゴでした。

治療前
歯の状態: 上の前歯が著しく前方に出ています
下アゴが引っ込んでいるため、下の歯がほとんど見えません

下アゴ

外見: 下アゴが小さく、後ろに後退しています。
下唇からアゴに掛けてのラインが、後ろに引っ込んでいます。

下アゴ
治療中
取りはずし可能な機能的な装置を使い、下アゴを前方へ誘導することにより、咬み合せの治療をしました。

下アゴ
治療後
前歯の状態:下アゴが前方へ誘導されたことにより出っ歯は解消されました。

下アゴ
横顔:下アゴが前方に誘導したことによりバランスが取れ、口元に改善されました。
特に、下唇からアゴにかけてのラインが大きく改善しました。
下アゴ

B. 歯列を拡大した治療例 9歳女子

治療前
狭い下アゴの歯列で、全体的に歯が内側に傾いています。
左右の犬歯が萌えるスペースがありません。

下アゴ
治療中
ワイヤーやスプリングを用いて、歯列を無理なく拡大していきます。
弱い力で歯を移動させることが大切な治療です。

下アゴ
治療後
広い歯列に変化し、全ての歯が適正な場所に生えています。

下アゴ

お分かりいただけましたでしょうか?

成長期の子供のときに、歯並びや咬み合せを治しておくことのメリットは、単にキレイな歯並びになるだけではありません。
大人になってからのイビキや無呼吸症のリスクを取り除くことになるのです。
子供が大人になっても健康に過ごすための、とても大切な予防処置の一環となります。

睡眠は、人生の質を左右する大事な要素です。
歯の健康にとどまらず、全身の健康にかかわっていることも併せてご理解いただけると嬉しいです。

とはいえ、症例写真をインターネットで見ても、なかなか分からないと思います。
お子さんのこと、だんなさんのこと、ご自身のこと「もしかしたら当てはまるのかも?」と思ったら、無料初診カウンセリングにてお話を聞かせてください。

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