当院は、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)を使っています。
(※インビザライン:完成物薬機法対象外の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済措置の対象外になることがあります)
マウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)って?
理想の歯並びにするために、少しずつ歯を動かすようなマウスピース(アライナー)を数十個製作し、2週間に1回、次のステップへのマウスピース(アライナー)に替えて矯正を進めていくのです。
特徴
・ 食事は今までと同じように出来ます
・ 歯磨きも今までと同じように出来ます
・ 治療に通う回数が、ワイヤー矯正より少なくてすみます(2ヶ月に一回)
・ 薄いマウスピースなので、違和感が少なく、発音はほとんどおかしくなりません
・ワイヤーの矯正と違い、「点」でなく「面」(例:デコボコと高さを同時に治すことが出来る)で治療を進められるので、ワイヤーの矯正よりも早く終わらせられるケースもあります
・ワイヤーと違って、装置によってお口の中を傷つけることがありません
・すべて永久歯に生え変わった段階で適応されます
・歯並びによって適応されない場合があることをご了承ください
わからないことを先生にインタビューしてみました!
(ご自身もマウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)を使って矯正治療をしたことがあります。)
導入してから5年経って分かった様々なことを下記ページにまとめていますので、ご覧いただけると幸いです。
「日本矯正歯科学会臨床指導医」(矯正歯科を専門に行う歯科医師)のマウスピース型カスタムメイド矯正装置※の考察
先生プチインタビュー
- マウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)って、いまいちよくわからないんですが・・。
- 透明なプラスチック製のマウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)です。
4~5年前までは、我々としては「こんなものやっても治んない」という風潮でした。
ちょっと動かすくらいでしたら出来たのですが、ツールとして私たちが針金(ワイヤー)以外のものプラス、もうひとつ「マウスピース」というものが出てきて「まあいいかな」というのもレベルで、あまり治らないという印象でした。プラス、当初は結構痛かったんですよね、マウスピースの素材が。 - 過去形ですか?
- そうです、過去形です。
3年前から変わりました、柔らかくなっています。
ですから、初めて入れたとしても「いやだ、痛くてもうヤダ」というようなことはなくなってきました。 - むりやり自分の歯と違う形を入れていたのでしょうか?
-
というより、素材の問題だと思います。
仕組みとしては、何十段階ものマウスピースを作って「0.25ミリ」ずつ動かすようになっています。「0.25ミリ」というのは、「歯」と「骨」の間にクッション(歯根膜)が介在しているんですね、そのクッションの幅が0.25ミリなんです。
ですから、2週間かけてそのクッションの幅くらい動かすのです。昔、講習会を受けていても、正直あまり響かなかったんですね。
ところが、3年前くらいにある文献を見て、とても良くキレイに治している症例を見たんですね。
針金(ワイヤー)と同じようなレベルで、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)をした先生の記事があったんです。
- 結構なガタガタの歯並びが、キレイになった?
-
すっごいキレイになりました。
「あれ?進化したのかな?マウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)が」ということで、もう一度マウスピースの講習会を受けなおしました。
「あ、いいかもしれない、こんなにキレイになるんだ」と。よくよく話を聞いたら素材も変わったし、システムも進化していたんですね。
それまでは、ガタガタな歯並びの人が、ほんのちょっとしか治せなかったんです。
でも、その範囲がだいぶ広まっていたんです。今まで、針金でしか出来なかったものが、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)でも出来るよう、範囲が広まってきていたんです。
そうすると、ちょっと一部分の歯並びの矯正だけでなくて、全体的な・・・上も下も、前歯も奥歯も動かせるようになってきて・・今まで僕の認識とちょっと違うんだな、ということを感じました。
「コレだった使えるかもしれない」と言う事で、「じゃあ、まず自分でやってみよう」と
自分でやってみました。
「痛さとか、どうかな?」と思ったら、これが案外、良いんですよ。
- どういう風にいいんですか?
- まず痛くない。
それから、針金の矯正装置はちょっと唇に引っかかったりチクチクしますが、でもマウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)はチクチクとか全くそういう感覚はない。 - 自分の歯の上に、ちょっと一枚乗っかっているような感じ?
-
普通、針金の矯正は最初、端っこが外に向いたりすると、口内炎になったり摺れたりするんですね。
慣れてくればいいんですけれど。ノリ(ボンド)でくっついているボタン(ブラケット)が、食事をするときに取れちゃったりする。
すると、付け直しに来てもらったり、チクチクするのを治したりします。
月に一度ずつ患者さんはいらしていただくんですけれど、その処置のためだけに患者さんが来なきゃいけないということがあったんですが、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)はそういうことはありえないです。
- それはいいですね。ちなみに、最初に全部のマウスピースを患者さんに渡しちゃうんですか?
- いいえ、進捗を診るので、一気には渡しません。
人によって15個で終わる人もいれば、50個かかる人もいます、決まってないんです。 - ガタガタの度合いによって違うんですね。
- たとえば、たくさん動かす人だと50~100個のマウスピースの人もいます。
簡単な方は・・少しの前歯のデコボコさんは・・20工程くらいですかね。
「写真」と「歯形」を取って、「歯形」自体をテキサスに送って、スキャンして作り出します。
すると、シュミレーションされたデータが送られてきます。
この間やった方は「53個要りますよ」という症例でした。 - 53個は多い方ですか?
- 私の経験では多い方です。
難しいケースです。
なぜかというと、歯を抜いてやっているから。
たくさん歯を動かす必要がありますので、時間がかかります。
ですから、2年くらい。 - でも、2年なんですね。期間としては、ワイヤーでやるのと同じくらいなんですか?
- 同じくらいですね。
やさしいものはワイヤーよりもマウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)の方が早い場合もあります。
ただのデコボコさんはワイヤーよりも確実に早いです。
ワイヤーは1年半くらいかかりますが、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)は1年程で終わる場合もあります。 - 素人考えだと、こっちの方が遅そうな気がします。
- 針金だと、いろいろな準備をしながら治していくのですね。
デコボコを治す前に、高さを合わせたり、強い針金に月に一度ずつ変えたり、少しずつ変えていくので、デコボコさんを治す前にいろんな工程が必要なんですね。 - 針金の太さとか変えるんですね。
- そうなんです。
でも、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)の場合は、デコボコを治したり高さを治したりが、同時に出来ます。
ですので、効率がめちゃくちゃ良いんです。 - 一点じゃなくて、いろいろなところが同時進行で治せるんですね。
- そうです!
あっちもこっちも治せるんです。
考えもつかないような動きをしてくれます。
ですから、最初オーダーしたときに「こんな動きが出来るんだ!」というように驚いちゃいました。
「こんなこと考えているんだ!」と今でも、毎回驚きます。
技師さんが、作り出します。 - 技師さん?
- コンピュータの技師が「この人はこういう風に動かせる」と、シュミレーションしてくれます。
- ゴールを決めるのは?
- 私です。
「こういう動かし方で、ゴールを決めますけれど、どう思いますか?」と相談して、「これじゃだめ、これでいい、こんな動きは出来ない。じゃあ、この前歯はもっとこういう風に」という風にメールでやり取りをするんです。
昔は英語でしか出来なかったんですけれど、今は日本語でも出来るようになったんです。
おかげさまで意思の疎通がしやすく、ニュアンスが通りやすくなりました。私が使用している装置は、アライン社という会社がやっているんですが、とっても僕は良いと思います。
ちゃんとしています。 - どういうところがいいんですか?
-
アフターフォローがすばらしいです。
オーダーの仕方やコンピュータソフトの操作方法など、ちょっとわからないことでもすぐに教えてくれます。
もっと込み入ったことになると、担当者がきてくれてここで操作をしてくれて、「こういう風にやればいいんだ」という経験がだんだん蓄積されてきます。
マウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)に対する知識が、どんどん積み重なってきます。ミニ講習会というのがあって、月に一度ずつ10~20人位でやってくれます。
目黒駅のタワーで開催して、近いので助かっています。(笑)
講習会では、先生同士の意見交換をしますから、その知識も得られます。30年間針金で(矯正治療を)やっていましたが、マウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)はまったく違う矯正です。
知識をどんどん積み上げていくと、治療可能な歯並びがどんどん増えていくんです。
今の時点でマウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)は、歯並びのパターンが100あるとすると、50くらいしか出来ないらしいんですよ。
極端でないものは治りますが、アゴが曲がっている人とか、極端な受け口の人とか出っ歯の人は治りません。アライン社の社長は、75%を目指してやりたいというようなことをいっています。
今のところ大人用の矯正ですが、子供もやろうと。
- どれくらいの年の子供ですか?
- 今は10代です。
中高生はできます。
小学生の高学年10歳以上ならできます。実際に僕はまだやったことはありませんが、それくらいの子供が、ご飯のとき取り外したあと、それをまたはめてくれるかどうかですよね。
親が「やりなさい」って言っても、自分は「別に」と思っているとなかなか付けてくれないこともあります。
夜寝るときだけじゃなくて、食べるとき以外はいつも着けていないといけません。7~9歳からもやろうとしています。
マウスピースでアゴを広げるというような、強い素材を使うらしいんですよ。
なので、ちょっと痛いかも知れませんが、でも痛いのって最初だけなんです。
アゴが小さいのを広げていきましょう、ということですね。裏側矯正を考えている方は、目立たないことを重要視しているのしたら、こちらの矯正をお勧めしますね。
歯磨きも今までどおりでいいし、器具も壊れないですから。裏側は結構取れるんですよ。
あと、裏側は最初しゃべるのが難しいですね、慣れるんですけれど。
それと、裏側は、大変です、私が装置を着けるのが。(笑)
ミラーで見ることが出来ないので、腰が痛い体制で治療します。
表側のワイヤーの矯正の来院治療時間が30分程で出来るんですが、裏側は1時間かかります。
マウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)の場合には1回の来院時間がワイヤーに比べて短く済みますから患者さんも楽だと思います(約20分)。実際の治療は、ちゃんとはめられているかどうか?のチェックをして「ここはちょっと進んでいませんね」という場合、シリコン素材を噛んでもらって、効果をあげるようにします。
噛むとマウスピースがぴったりフィットするんですね。
あと、歯のクリーニングをして、また次にはめて頂く段階のマウスピースをお渡しするんです。2週間に一度ずつマウスピースを替えてもらうので、4つのマウスピースを渡します。
なので、2ヶ月に1度の通院なので楽ですよね。
1ヶ月に1度じゃなくて、2ヶ月に1度いらしていただいて、こちらでシュミレーションしたものと照らし合わせながら「進んでいますね」というようなチェックをします。 - 「シュミレーションしたお手本」があって・・「目標が可視化・見える化」出来ていいですね。
-
そうです。
ゴールが決まっているので、理解しやすいのです。
目標が設定されると、患者さんにとっても安心というか「ちゃんとやろう」というモチベーションが出来ますよね。こないだ治療した方は19個のマウスピースで、デコボコが治っていくんですけれど、少し歯の横を削るんですね。
「0.4ミリずつ削って下さい」という指示もコンピュータ技師がします。 - 歯を削る?
-
確かに、虫歯でもない歯を削るのは抵抗がある方もいらっしゃいます。
でも、その代わり歯を抜かないで済むケースが多いのです。 - 抜く抜かないパターンの割合は?
-
抜かないでやる方が、圧倒的に多いです。
最初にお話をした抜歯した方は特殊です。
エナメル質を削るんですけれど、エナメル質は2ミリ位もあるんです。
エナメル質には神経はありませんが、外からエナメル質、象牙質です。 - エナメル質って、2ミリも厚さがあるんですね。
- 削るのは、0.2~0.3ミリくらいです。
削る幅までシュミレーションできちゃうんです。
削るのが心配という方がいますが、歯ってすごくて、削って1時間後に、エナメル質が再生してきます。
「再石灰化」というやつですね。
削ったからといって、虫歯になりやすいなど後から困ることはありません。
歯を抜いた矯正は、隙間が開いてくることがあります。
「10代で矯正したけれど、中年になったら隙間が空いてきちゃった」ということはあります。
それは、針金でも同じですが。だからといって、すべて歯を抜かないで出来るというわけでないです。
ドクターの考えですよね、どうやって治すかというのは。
そのドクターの教育されてきたバックグラウンドによります。
何がよくて何がいけないということではないです。このシステムは、針金を使いませんから、一般の歯科先生も出来ます。
でも、歯がどうやって動いていくのか?を理解できないと、本当に簡単な矯正しか出来ないですね。
そういう意味では、矯正のゴールが描ける先生、つまり矯正専門の先生に治療してもらうことをお勧めします。
技師さんとちゃんとコミュニケーションして、いい着地が見出せる先生でないとできません。僕も最初はマウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)の知識がなかったので、本当にやさしいのしか出来ませんでした。
でも、講習会で知識が積み重なって、出来る範囲が広がりました。
もともと矯正をしているので、これで治らない場合は針金をつけて治すことも出来るという安心感もあります。 - あとからワイヤーで治すこともあるんですか?
-
前歯は、まずありません。
奥歯にワイヤーをつけて仕上げして治すことはあります。
可能性はとてもある矯正方法だと思います。アメリカ人の子供も、針金の矯正を嫌がっているという時代になりつつあります。
「マウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)で治したい」というところに、変わりつつあります。 - やっぱりどう考えてもマウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)の方が楽ですね。
-
歯並びに関する感覚も、変わってきています。
うちの子供の歯並びはキレイにしたいというのは、昔に比べて増えていますし、少子化で何人も子供がいるんじゃないので、教育と見た目とかにお金をかけるという風になっているかなと思います。
マウスピース型カスタムメイド矯正装置(※)の治療例
※この治療には個人差があります
【before】
【after】デコボコがスッキリしました!
①主訴:前歯のガタガタを治したい
②診断名あるいは主な症状:前歯部叢生
③年齢:35歳
④治療に用いた主な装置:ライトワイヤー法
⑤抜歯部位:非抜歯
⑥治療期間:約1年
⑦治療費:検査:38,500円
基本矯正費用:440,000円~
調整料:6,600円(ひと月に1回)
⑧リスクと副作用:治療開始後数日は噛むときに痛みがあります。
虫歯や歯肉炎予防のために毎日の適切な歯磨きが重要。
装置が破損する場合があり、その時は連絡が必要
治療後には後戻り防止として保定装置が必要
歯の移動により歯根の先が溶ける場合がまれにある。