2026年07月06日
“宇宙歯科学”の論文を読んで
先日、日本歯科医師会雑誌に“宇宙歯学~宇宙から始まる歯科医療のイノベーション~”(著者:前田初彦先生、愛知学院大学歯学部口腔病理・歯科法医学講座教授)という大変興味深い論文が載っていました。
将来、民間人でも宇宙旅行・宇宙滞在が現実化する時代が到来しつつあるようです。
その際には宇宙環境における人体への影響について知っておく必要があります。
主な影響は
- SMS(宇宙酔い):めまい、頭痛、食欲低下、悪心・吐気
- 体液シフト:下肢に貯留していた体液が頭部・上半身へ移動し、体液量や血漿量が変化する。
- 筋委縮や骨量減少は起こる(宇宙長期滞在の場合)
- 宇宙放射線の被ばく (宇宙ステーション滞在の場合:地上の50~150倍)
が挙げられます。
宇宙歯科医療の現実
現在、国際宇宙ステーションには歯科医師は常駐しておらず、“宇宙では歯科治療は行わない”という状況です。宇宙では歯肉炎症の増悪や未処置のう蝕は気圧や温度変化の影響を受けやすく、未治療の歯科疾患がある場合には宇宙旅行の禁忌とされています。
今後は宇宙での微量重力や宇宙放射線が口腔組織に及ぼす影響を解明し、さらに宇宙環境に適した遠隔歯科治療システムの構築や微量重力下における歯科修復材料の性能、耐久性評価も重要な研究課題と述べられていました。
宇宙という極限環境から得る知見は
地上の歯科医療の発展へと導く力を持っている!
日本歯科医師会雑誌 Vol.79, No.1, 22- 31, 2026より抜粋


