ドクターかみやすのブログ

2024年08月07日

“縄文人と現代人の咬合の違い”を聴いて

先日、東京矯正歯科学会学術大会が開催され、参加してきました。

特別講演では東京大学総合研究博物館の海部陽介先生が“縄文人と現代人のかみ合わせの違い”について興味深い講演をされました。先生は進化人類学者として人類がユーラシア大陸から日本列島にどのように渡来して来たかを研究なされています。

講演では縄文人から鎌倉時代、江戸時代、そして現代人への咬合の変遷を示されました。

縄文人の特徴

歯列の幅が広い、切端咬合、激しい咬耗により歯の幅や高さがすり減っている。それによって歯は微妙に位置変化し整った歯列をしている。(この頃の人は歯のデコボコはなく、矯正治療の必要はない!)

これは硬く、砂の混じった食物摂取が原因と考えられる。

鎌倉人の特徴

この頃から咬耗はやや減少し、奥歯だけがすり減り、その結果前歯は出っ歯になっている人が多い。

江戸時代~現代人の特徴

柔らかい食物摂取により、歯列の幅が狭く、咬耗も減少し、歯列のデコボコ(叢生)がみられる人が多い。

これはアゴの退化ではなく、食生活の変化による“部分的な発育不良”と考えると結ばれました。

縄文人の歯列
“骨が語る人の生と死”展示会より抜粋
東京大学総合研究博物館