ドクターかみやすのブログ

2021年06月28日

矯正治療後10年経過症例から非抜歯治療を振り返る

先日、成人矯正歯科学会春季セミナーにおいて広島でご開業の小川晴也先生によるとても貴重な講演を聞きました。

出っ歯の症例でも抜歯を行わずに上顎大臼歯の遠心移動によって治療を行った10症例を提示されました。さらに治療10年以上経過した状態も提示されました。

その結果、どの症例も歯を抜かずに矯正治療が成功し、歯並びは治る。しかし元々の治療前の骨格の状態、特に下顎骨形態や口を自然に閉じられるかなどにより、予後があまり良くない場合もある。

よって闇雲に非抜歯治療法が優れているとは言えない事を示されました。

このように治療10年後に予後の余り良くない症例の提示はドクターとして、したくありません。とても貴重な資料を見せて頂いた小川先生に感謝いたします。

これらは全てワイヤーによる治療です。インビザラインではワイヤー法よりも非抜歯治療を行いことが多いかもしれません。新しい治療法ですので、治療後10年経過した症例検討は未だ報告がありませんが、インビザラインでの治療後の経過検討が大切と思います。